何かと槍玉に挙げられている再販制度についてなんも知らないくせに語ってみようと思います。
再販制度というのは再販売価格維持制度の略称でして、特定の著作物に関しては再販の際にも定価のままの価格で販売しなければいけない、というような旨の制度です。
再販の際に定価で販売するということは独占禁止法に違反するのですが、知的財産を守る的な目的で例外的に容認する仕組みです。
主に再販制度が適用されているのは書籍・雑誌・新聞・音楽ソフトです。
著作物再販制度の趣旨は、制定当時の資料が少なく実のところ明確ではなく、別に出版・レコード業界などから要請があったわけでもなく、様々な憶測が為されてます。
その中で最も有力な説が「文化的配慮説」です。
日本レコード協会はこの様に仰ってます(以下引用)。
日本のレコード産業は、再販制度のもと、日本の大衆音楽、伝統芸能から世界各国の最新音楽、民族音楽まで世界で最も多くの音楽作品を消費者に提供し、消費者の多種多様な文化的欲求に応え、文化水準の維持向上に努めてきました。今や、全世界でも日本でしか入手できない音楽作品も珍しくありません。
レコードの再販制度が撤廃されると、他の商品で総合的に利益を上げられる大型商業施設でのレコードの安売りや、オトリ廉売により自由競争の限界を超えた過当競争に陥り、レコード店の大多数を占める中小レコード店の多くは廃業を余儀なくされ、消費者にとって手近でレコードを購入する機会を失うことになります。
さらに、地方の消費者ほど不利となり、文化の地域格差に拍車をかけることとなります。
上の段落に関しては、日本・世界の多種多様な伝統的音楽を広げた功績が称えられています。
そういったマスメディアから少し遠のいた文化を広げるのは素晴らしいですし、world musicのcdの値段がもう少し安かったらボクも聞いてみたいです。
下の段落に関しては、そういった問題は公正取引委員会や独占禁止法がどうにかしてくれるのでは、と思うのですが他力本願でしょうか。
もっと作家、実演家に焦点を絞った意見もあります(これもレコード協会からの引用)。
影響
- 1. 次代を担う新人作家のデビューする機会が失われ、我が国の音楽文化が衰退します。
- 2. 比較的売上げの少ない純邦楽(民謡・吟詠等)や童謡、クラシック等文化的価値の高いレコードが発売されにくくなり、その結果これらの作家、実演家が減少し、我が国の伝統的音楽文化の荒廃をもたらします。
主張
影響1に関しては、「再販制度撤廃によるレコード価格の自由化」と「新人作家のデビュー機会減少」がどうつながっているのか良く分かりません。
認知度のない作家は、売れる枚数も少なくレコードの価格も下がってしまい商売にならないということでしょうか。
それはその本人の才能と努力、レコード会社のプロモーション力に依るところが大きいのでは、と思います。
影響2に関しては、伝統的音楽などはむしろ再販制度で敷居の高いものになっている気がしなくもないと思います。
普通に考えて昭和の歌謡曲なども作曲・歌唱力・演奏力等とても高い水準にあり、極めて高い価値があると思われますが、実生活ではnhkの歌謡コンサートでも見ていない限り全然耳に触れる機会がありません。
価格で価値を守る以上にすべきことがあると思います。
主張1に関しては、レコードが文化財であることを知っているヒトは多くいると思いますし、再販制度が撤廃された瞬間に「競争一辺倒」や「徹底した自由競争」に簡単に陥るでしょうか。
文化財の価値は作り手側・聞き手側が相互作用しあって作り上げるものだと思います。
主張2に関しては、レコード業界は常に「儲からない」と嘆いていた気がします。
主張3に関しては、本とcdは違います。
例えばcdは聞きながらいろんなことが出来ますが、本は読みながらいろんなことが出来ません。
著作物という点では同じかもしれませんが、用途が全く異なるのです。
特にアカデミックな書籍における図解や緻密な文章などの知識の獲得をレコードに求める需要はそんなにないか、殆どないと思います(極論過ぎるかもしれませんが)。
という訳で図らずもレコード協会に反論してしまいました。
別に批判なんかしたくはないんですが、思ったこと書いたらこうなってしまいましたw。
世界的にも音楽に再販制度を適用しているのは日本だけですし。
ヨーロッパだと書籍や雑誌に適用している国も幾らかあるようですが、そのような国で音楽的文化が廃れているとはとても思えません。
てニートのバンドマンが言ったところで何の説得力も無いのが泣けるます。