何かこんなニュースを見かけました。
「人が触った本借りたくない」との事ですが、司書なり従業員の方々が触る事はもとより、自分が特別無菌なヒトなのかどうかというところですね。
図書館に限らず小売店に関しても、商品がお店に届くまでに作ったヒトが触り、運ぶヒトが触り、並べるヒトが触り、選ぶヒトが触っている訳で「誰かが触ったものなんか怖くて買えない」とかいうなら全部自分で作り出すしかないですし、そんなんで病気がうつるならとっくに人類絶滅している事でしょう。
残念なお知らせですが、世界は不浄です。
常にそこら中に菌やらウイルスやら浮遊しています。
理容及び美容師の方々は髪の毛が菌の塊である事を理解しているでしょうし、飲食業は衛生管理を徹底して手洗いやら食材を管理したりしています。
ましてやおうちの観葉植物や、可愛いペットの体毛なんてのも菌まみれで清潔とは程遠いのです。
ボクは学生時代に微生物の研究をしていましたが、菌を扱うときはクリーンベンチという小さめの無菌状態の作業台を用いたり、菌を培地に植え付けるときはガスバーナーの火の下で作業をしました。
何故ならコンタミネーションしてしまうからです。
先ほど言った通り、その辺に微生物やらウイルスやら浮遊している為に、作業中に目的でない菌が混入して増殖し、必要としている結果が得られなくなってしまうからです。
前述の記事では除菌がどうのと言いつつ、新型コロナウイルスの話をしていますが、菌とウイルスは全くの別物です。
「無毒化」あたりが表現として適しているのではないでしょうか。
ウイルスが生物なのかどうか議論が分かれるところですが、様々な生物に対する定義がある中で「自己増殖能力、エネルギー変換能力、自己と外界との明確な隔離」が大事っぽいとウィキペディア様が仰っていて、ウイルスは細胞を持たず、単独の自己増殖能力と代謝能力は無いに等しいので「生物学的存在」とか言われるらしいです。
菌は細胞があって勝手に増えるのでまさしく生物であり、生命の起源は菌であるとされています。
そしてそんな菌やらウイルスがその辺に浮遊していても、我々が病気にならずに健康にいられるのは、免疫システムのおかげです。
現在の人間はまず「自然免疫」で異物に対応します。
自分とは違うものが体内に入り込んだ際に、対象を好中球やマクロファージといった連中が駆逐します。
次に「獲得免疫」で対応します。
強かったり増えてしまった異物に対して、B細胞が抗体を作り、T細胞が抗体が絡んだ異物を破壊します。
浮遊している程度の異物は大した量でもないので「自然免疫」で簡単に駆逐できますが「獲得免疫」の反応が起きてしまうと、身体は風邪などの症状を出してしまいます。
普通に暮らしている分には自然免疫で病気にならんですし、それで抗原獲得できるかもしれませんので、やっぱり今みたいな過剰な衛生管理はどうかと思いますけどね。
不浄の世界で生き抜くためには、適度なストレスを食らって強くならなければいけないという。